ハード・プレスはなぜいけないのか
最近は、いわゆるハード・プレスをしないようにして練習している。なぜならば、そのほうが調子が良いというただそれだけの理由だ。確かに・ハード・プレスをしたほうのが唇を固定するのは楽で、一見力を抜いた奏法が可能であるかのように思われる。しかしながら、実はハード・プレスこそリラックスを阻害する一大要因といってもよい。
そもそも、全くプレスをしないノン・プレスなどという奏法は、存在しない。「程よい」プレスは必要で、アンブシュアをしっかりと安定させる程度のプレスは必要であろう。そういった場合のプレスは、唇がめくれ上がらない程度にそっと当てておくというイメージが大事である。
ハード・プレスとほどほどのプレスを比較したとき、何が違うのだろう。もちろん押さえるための力の入れ具合が違うのだが、それにより唇にどのような変化が現れるのか。最も変わってくるのが、「発音の位置」であろう。
ラッパを当てずに唇を普通に閉じたとき、唇が外に露出した乾いた部分と、外からは見えない湿った粘膜部分に分けたとき、ラッパにおける理想的な発音箇所は、その境目から「わずかに内側」の柔らかい粘膜部分で音を出すのが理想的である。世の中には粘膜奏法と言うのがあり、これは極端に発音部分が内側の場合を言う。そうではなくて、硬いところと柔らかいところの「わずかに内側」で発音しなければ、唇は決して振動しない。
ハード・プレスをしたとき、この「わずかに内側」で発音するのが困難となり、むしろ硬いところ、つまりは振動しづらいところで発音することになり、振動させるためにかえって力が入る。結果としてリラックスできないことになるのだ。ハード・プレスが唇の安定確保に役立つような気はするが、リラックスできない奏法だということは、音を出すに当たり最も不安定な奏法であり、絶対に避けねばならない奏法といえる。
一方、「程よいプレス」の奏法とは、唇の発音箇所を「わずかに内側」にする程度のプレスで奏法するものである。実際プレスを軽減すると、唇は軽く前に突き出る形となり、自然と発音の箇所は「わずかに内側」になるはずだ。これまでプレスに頼ってきた人にとっては大変な作業ではあるが、2週間ほど続ければ慣れるはずだ。
「程よいプレス」は唇が軽く前に突き出る形とはなるが、いわゆる「おちょぼ口」ではない。「おちょぼ口」も避けねばならない奏法ではあるが、これを防ぐためには、アゴの先を尖らせて吹くことを念頭に入れる必要がある。あごの先を尖らせると、アゴの皮膚はぴんと張った感じになるはずだ。下唇は滑り落ちない程度に軽く巻きこんでいるはずなので、ぴんと張ったとしても、マッピからずれ落ちることはない。というか、そうならない程度に下唇を巻き込む必要がある。
まとめてみる。
- 「程よいプレス」で発音箇所を唇の「わずか内側」の柔らかい粘膜部分とする。
- おちょぼ口にならないよう、アゴの先を尖らせる。
- アゴの先を尖らせるために、下唇をわずかに下の歯の上に乗せてしまう。
これにより、上唇は常にリラックス状態、下唇は完全なる土台として機能するはずだ。
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